2011年8月13日土曜日

「亡霊軍団の進撃」あらすじ:セッション8 インヴァネスからの脱出

以下は7月6日にRole & Roll Stationで行われたD&D Encounters シーズン4「亡霊軍団の進撃」第8回セッションのあらすじになります。

完全なネタバレになりますので隠します。


インヴァネスを押し包む冬の寒気にもかかわらず、燃えさかる村の熱気で冒険者たちは汗ばんでいた。目の前に城の墓所があるが、そこは既に冒険者たちの記憶にあるような、静まり返った場所ではなくなっていた。墓所の中央に、サラザール・ヴラディストンの亡霊が立っていた。町ができたその日にスプリンターシールド師の殺害を誓った亡霊戦士だ。その隣で傷を負ったファルディラがうなだれていた。亡霊兵士たちが数名その傍で侍っている。

「何故、彼女は姿を見せぬ?」

ヴラディストンは剣の切っ先をファルディラの喉に突きつけながら問い詰めた。

「いかなる忌まわしき呪文が、我と我が妻を隔てるのだ? 魔法使い、答えよ!」

冒険者たちはそこに割って入ると、ヴラディストンに話しかけた。ヴラディストンは、彼が愛する妻オルディヴヤの墓を訪れるのを移住者たちが邪魔したことに腹を立てていると語った。スプリンターシールド師がインヴァネスから出ていけという彼の要求を拒んだとき、怒れる霊魂は全ての移住者たちにこの代償を払わせてやると誓った。インヴァネスの生者たちの傲慢に対するヴラディストンの敵意は、やがてくすぶる憤怒となった。だがしかし、彼は妻の墓にいるというのに妻の霊と語り合うことができなくなっていることに戸惑っていた。ヴラディストンは誰かが墓所を傷つけたか、あるいは何らかの不浄な呪文を使ったのではないかと疑っていた。

最初の遭遇の後、ヴラディストンはインヴァネスの人々を罰し彼らをここから追い出すのを手伝ってくれる霊魂を求めて、ネンティア谷じゅうを探し回った。そうこうしている間に、亡霊軍団の名で知られる、ネラス時代の亡霊の戦士団を意に沿わせることに成功した。だがしかし彼の狂気じみた怒りにもかかわらず、冒険者たちはヴラディストンの中にはまだ名誉の感覚が残っているという感触を感じるのだった。なぜなら彼は逃げる村人たちを足止めして殺そうとはしていなかったから。

亡霊軍団の指揮を執ることになると、彼はスプリンターシールド師を殺し、インヴァネスを守る呪文を破壊し、村を焼き落として人々を追い出す計画を実行に移した。村の近くのハーケン森に疫病を蔓延させたのはヴラディストンだった。ある偶然から、彼はプレイグ・デーモンの死体を見つけた。彼と彼の軍団は水源を汚染できるような場所にその死体を動かし、動物たちに、ひいては村人たちにまであの疫病を蔓延させようとした。疫病を根絶しようとしてスプリンターシールド師がインヴァネスの守りから離れたところに、ヴラディストンは罠を仕掛けたのである。そうして障壁が崩れ去った途端、亡霊軍団がインヴァネスに襲いかかったのだ。

最終的にヴラディストンは、すぐに妻を自身の手に戻さなければファルディラの命はないぞと脅迫してきた。サラザール・ヴラディストンの近くに立っていた幽霊戦士が、武器を構えて前に滑り出してくる。

「死者の軍団に対して、生者に何ができるというのだ?」

ヴラディストンは言い、そのきしむ声はあたりに有罪判決の如くこだまする。

「この戦いの結末はひとつ――貴様らの死だ。喜べ、貴様らの死は、このサラザール・ヴラディストンを邪魔立てしようなどと無益な考えを抱く者に対して、立派な警告となろうぞ!」

戦闘は苛烈を究めた。だがこれまで幾度となく亡霊軍団を相手に戦いを経験してきた冒険者たちは既に、彼らとの戦い方を心得ていた。サラザール・ヴラディストンの霊体のロングソードは強力な打撃を生み出してきたが、それでも基本的な対処方法は他の亡霊兵士たちと同じだった。ついに冒険者たちの一撃は霊体のヴラディストンにも決定的なダメージを与え、彼は霊体の体を維持できない状況に追い込まれた。

サラザールが倒されてしまうと、亡霊旅団は退却を始め、暁の光の中に消えていった。インヴァネスに残るのは、燃えさかり崩れ落ちる建物ばかりであった。冷たい風がそこら中の灰や燃えがらを巻き上げてゆく。

あたり一帯を調べていた冒険者たちの前に、ぼんやりとした姿が再び形を取る。サラザール・ヴラディストンである。彼の姿はいっそう幽霊じみており、さきほどよりも見分けがたい。彼は妻の墓石をじっと見つめると、冒険者たちの方を振り返る。そうしてその透けた剣を突きつけ、ようやっと聞き取れるような囁き声でこう言った。

「貴様らに今日という日を後悔させてやる。我は必ずや我が妻とふたたびひとつになる。貴様らも生き残った者どもも、我が苦痛に苦しむだろう」

その声を最後に、彼もまた他の兵士たちとともに消え失せていった…。

そうして、インヴァネスの夜が明けた。しかし空は雲で覆われ、陰鬱な一日となることがわかってしまっていた。ファルディラは冒険者たちが助けてくれたことに感謝しつつも、スプリンターシールド師を失ったことや、他の死んだ村人たちのことを悼んだ。

英雄たちは生き残りの村人たちが燃え落ちる町から脱出するのを助け、残った物資をかき集めた。亡命者たちは、安全な場所に辿り着くために、前方に広がるこの冬の荒野を越えて長い旅をしなくてはならないのだ。マルグラムの助言に従って、冒険者たちは生き延びた村人たちと共に北のハンマーファストを目指すことにした。

インヴァネスの門を出ようとするとき、冒険者たちは視野の隅で何かが動くのに気づく。そうして振り返れば、幽霊塔が不吉な光を放っているのが目に映る。

幽霊塔は何事も無かったかのように、静かにそこに佇んでいた。

※このあらすじはD&D Encountersの大まかなストーリー・プロットを説明するためのもので、必ずしも実際に行われたセッション内容を、100%反映している訳ではありません。

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